第38回創作テレビドラマ大賞 公開講座レポート

   去る518日(土)、渋谷東急プラザにて、「第38回創作テレビドラマ大賞公開講座」が行われました。

   さらだたまこ理事長のあいさつに続いて、最初に行われたのは、「入賞脚本はこう書く!~創作テレビ大賞を制するコツ~」と題した東多江子さんの講義です。その内容はタイトル通りに実践的なもの。たとえば、「読みやすい原稿にすること」というポイントについて、具体的にどうすればよいかをアドバイス。その他にも、応募作執筆についていくつかのポイントを挙げて、「なぜそれが重要なのか」「どうすれば実践できるのか」を、わかりやすく解説されました。そんな中で何よりも胸に響いたのは、「とにかく最後まで書くこと」という言葉です。コンクールの応募作を執筆中の受講者の中には、途中で挫折しかけている人もいることでしょう。そうした人をはじめ、多くの受講者の背中を押してくれる講義だったと思います。

 

   続いて行われたのは、前回の受賞者の藤井香織さんの「テレビドラマ大賞を受賞して」  と題した講演です。藤井さんは受賞作「希望の花」について、どのような経緯で、どんな思いを込めて書き上げたのかを話されました。また、受賞後に感じた反省点なども語られました。「皆さんの今の気持ちを素直に書くことがベストだと思います」と藤井さん。今まさに応募作を執筆中の私たちにとって、より身近で、親しみの持てる講演でした。「自分も頑張れば藤井さんのようになれるかもしれない!」。そんな気持ちにさせられました。

 

   今回の講座では、制作現場からのお話もありました。登場したのは、NHKエンタープライズ・エグゼクティブディレクターの榎戸崇泰さんです。「脚本家が知らない、現場が求める脚本」というテーマで、自分がどんな脚本に心を動かされ、制作したいと思うのかを、具体的なポイントを挙げてお話されました。過去の名作ドラマを例にするなど、とてもわかりやすいお話で、現場の方だけに臨場感もたっぷり。どんどん引き込まれてしまいました。現場の方のお話をこうして直接聞けたことは、今後の執筆にあたって貴重な体験だったと思います。

 

(左から)冨川元文さん、東多江子さん、藤井香織さん、榎戸崇泰さん、磯智明さん
(左から)冨川元文さん、東多江子さん、藤井香織さん、榎戸崇泰さん、磯智明さん

   その後はパネルディスカッションが行われました。パネラーには本日の講師の皆さんに、NHKチーフ・プロデューサーの磯智明さんも加わって、冨川元文さんの司会で議論が進められました。今回のテーマは、「テレビドラマ大賞に受かる脚本受からない脚本」というものでしたが、それだけにとどまらず、現在のドラマ界全体の状況や制作の裏事情など幅広い話題が飛び出しました。特に「ドラマは脚本家にとってエンターティメントなのか、自分の書きたいものを書くものなのか」というテーマは、深い内容でなかなか興味深いものがありました。パネラーの皆さんは、もちろんそれぞれ考えが違いますが、ドラマを愛し、脚本を愛していることは共通だと実感しました。受講者にとっても、ドラマへの思いをますます強くしてくれる議論だったと思います。最後には、受講者からの質問にパネラーの皆さんが答える質疑応答も行われました。好きなドラマの話、視聴率の話など、ここでも様々な話題が話されました。

 

   こうして予定の2時間があっという間に終了しました。執筆のヒントから、ドラマを取り巻く状況まで、盛りだくさんの内容で多くのことが学べました。コンクールの応募はもちろん、脚本家として何が必要とされるのかが、よくわかりました。私自身、今日の講座を心に刻んで、コンクール応募やそれ以外の執筆の場に生かしたいと思いました。(セミナー受講生 T)