新刊紹介

書籍名:世界中で水素エネルギー社会が動き出した

著者名:幾島賢治 、幾島嘉浩、幾島將貴

出版社:シーエムシー出版

発刊 :平成28224

 筆者は石油業界において水素・燃料電池あるいは液体燃料に関して卓越した知見を有しており、太陽石油㈱、(財)石油エネルギー技術センター、国際石油交流センター等で活躍し、現在はIHテクノロジー㈱CEO、愛媛大学客員教授として先進的燃料に関し多角的な研究を進めている。

更には、地方から「明日のエコより今日のエコ」を発信するためFM今治放送で放送作家として、番組の制作、パーソナリティ、番組への楽曲提供等で活躍している。

さて、安倍政権の進める日本再興戦略で水素は重要な役割を担っている。20146月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014においては、水素社会の実現に向けた取組を推進することがうたわれており、これに先立つ経済産業省の水素・燃料電池戦略会議では、水素・燃料電池戦略ロードマップが策定され、今後産官学が協力して水素社会の実現に向けて進む方向性が示された。

本書は、わが国がこのような戦略を採用するに至った世界の水素事情から、水素の製造、利用、そして最大の課題である運搬と貯蔵について技術的観点も踏まえ分かりやすく解説している。

1章世界の水素社会、2章水素社会を構築する仕組み、3章水素の製造方法、4章水素の原料、5章水素の運搬技術、6章水素の貯蔵技術、7章水素社会の目指す世界の国々、8章水素社会の誕生を目指す支援、9章水素関連企業10水素エネルギーの次は何か、で構成されている。

今後のわが国のエネルギー事情を予測する上で、おそらくその中核となると見られる水素を学ぶ上では必読の書であると言える。
新刊紹介

書籍名:水銀処理技術が日本のエネルギー危機を救う

著者名:幾島賢治

出版社:シーエムシー出版

 

平成2510月に国際連合の下部組織の国連環境計画局が主催した水銀に関する水俣条約外交会議が熊本県水俣市で開催され,水銀に関する水俣条約が批准された.水俣市は水俣病の由来の通り,有機水銀汚染によって多くの被害を受けた地域であり,水銀の恐ろしさを世界中に知らしめたことで有名である.この水俣条約では先進国と途上国が協力して,水銀の供給,使用,排出,廃棄等の各段階で総合的な対策をグローバルに取り組むことが謳われている.資源が乏しい日本では,石油・天然ガスなどの化石資源は輸入に頼っている.この化石資源には多かれ少なかれ水銀が混入しているので,それを除去しなければ環境や人間へ悪影響を与える.水俣条約には水銀入りの原料,材料は原則,輸出入禁止であるので,物流を円滑に進めるためにはグローバルに水銀処理を展開しなければならない.本書の書籍名「水銀処理技術が日本のエネルギー危機を救う」は一見大袈裟にも聞こえるが,水銀処理ができなければ日本への化石資源の輸入ができなくなることを考えると,この書籍名は現実に起こり得ることのように思う.

本書は,1.水銀のことを学ぶ,2.日本の水銀処理技術は日本のエネルギーの安定供給の切り札,3.地下資源確保の要は水銀処理技術である,4.水銀には意外と多くの種類がある,5.水銀が広く利用された時代があった,6.超微量の水銀分析計は日本製が世界一である,7.地下資源には水銀などの金属が含まれている,8.次世代の地下資源にも水銀などの金属が含まれている,9.日本の水銀除去技術は世界の最先端である,10.水銀に関する日本の研究開発力,11.水銀の生態系への研究,12.水銀に関する国際条約の動向,13.水俣の国際水銀条約で決まったこと,の13章からなる.特に,低濃度水銀を安定に測定する分析計の紹介,水銀除去の基礎研究の重要性,条約の批准と今後の方向性など,他書にはない事例が多く掲載されている.本書は,著者の幾島賢治氏が長年,水銀除去の研究開発を行ってきた経験をもとに,一連の水銀に関することをわかりやすく解説されている.学生や一般人にも読みやすく,是非とも手元においておきたい一冊である.


シェールガス・オイルの輝ける未来

著者 幾島賢治

多くの日本人が原子力こそが日本のエネルギー源の根幹を担うと思っていた。温室効果ガスを出さない。核サイクルが確立すれば資源は十分ある。安全性についても数十年に及ぶ運転経験から十分確立されているはず。などと思い込んでいたのである。

しかし、このフクシマの事故によって、全国の原子力発電所が停止し、日本の電力は再び化石燃料に頼ることとなった。一夜にして一国のエネルギー政策が根本から覆されたわけである。

このような中、今シェールガスおよびシェールオイルという新しいエネルギー資源が注目を浴びている。無尽蔵ともいわれる埋蔵量、大消費地アメリカのすぐ足元で発見された資源、安価な採掘コスト。そのインパクトは実に強大で、革命ともいわれる。輸出が始まれば、日本のエネルギー政策にも当然、大きな影響を与えることになるだろう。

424日付のニューヨークタイムスは「しばらく目を閉じて2023年に目を開けたら、あなたは、まったく異なったエネルギーワールドを目の当たりにすることになるだろう」と新エネルギーのインパクトについて述べている。

発電用にとどまらず、トラックや列車もシェールガスで走るようになるだろう。その結果、アメリカは世界有数の石油の輸出国になる。シェールガスはプラスチックや合成繊維の原料ともなり、合成液体燃料が作られるかもしれない。これからのエネルギー問題はシェールガス・オイルを抜きにして語ることはできなくなるだろう。

日本にとってみれば、原子力発電所の事故。正にその時に舞台に登場したエネルギー源という意味合いも持つ。

本書は、この新しいエネルギー資源について採掘からエネルギー源としての活用、石油化学・合成燃料への応用、日本のエネルギー産業への影響までを幅広く、かつ平易に解説している。著者は「燃料電池の話」や「液体燃料化技術の最前線」などの著書、あるいはラジオ番組「明日のエコより、今日のエコ」ででパーソナリティとしてエネルギー技術についてわかりやすく解説している。

シェールガス・オイル全般を知るための入門書として、正にタイムリーに刊行された好書である。

 

発行所:シーエムシー出版株式会社

発行日:2013年6月21

体裁: 版139頁

定価:1,500  円+税